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概要:生産の失速が波紋を広げている。1月景気動向指数の一致指数が大幅に低下し、戦後最長の景気拡大実現が怪しくなってきたが、本質はそこではない。生産の弱さが継続すれば、設備投資計画の下振れや企業マインドの下方シフトを通じ、最終的に消費への悪影響を招いて景気後退という「穴」にはまり込むリスクを高める。 中国の輸入の落ち込みが日本の輸出に波及すれば、生産減速が「一時的」との見方は失望に変わりかねない。 8日の日経平均&l
田巻一彦
[東京 8日 ロイター] - 生産の失速が波紋を広げている。1月景気動向指数の一致指数が大幅に低下し、戦後最長の景気拡大実現が怪しくなってきたが、本質はそこではない。生産の弱さが継続すれば、設備投資計画の下振れや企業マインドの下方シフトを通じ、最終的に消費への悪影響を招いて景気後退という「穴」にはまり込むリスクを高める。
中国の輸入の落ち込みが日本の輸出に波及すれば、生産減速が「一時的」との見方は失望に変わりかねない。
8日の日経平均.N225は午後に下げ幅を広げ、前日比430円安の2万1025円となった。
2月の中国貿易統計で輸出が前年比マイナス20.7%と大きく落ち込み、中国経済の先行きへの懸念が強まったことが株価の下落要因の一つとして指摘されていた。
だが、私が注目したいのは、輸入の方だ。市場予想の同マイナス1.4%を大きく下回る同マイナス5.2%となった。1月は同マイナス1.5%で、中国経済が足元で冷え込んでいることを端的に示した。
日本の1月対中輸出は、同マイナス17.4%だった。2月の中国の輸入が大幅に下げているので、日本から中国への輸出はさらに落ち込むことが予想される。
さらに問題なのは、日本の鉱工業生産だ。1月速報値では前月比3.7%低下と大幅に失速した。同時に公表された生産予測指数は、2月が同5.0%上昇、3月が同1.6%低下となったが、5.2%という2月の中国輸入の落ち込みを受け、対中輸出の大幅減少と、生産の失速トレンド継続の可能性は高まったとみるべきだろう。
<過剰債務に直面する中国企業>
中国政府も、足元の経済情勢には危機感を持っているようで、5日から始まった全国人民代表大会で約2兆元(2983億1000万ドル)の企業向け減税を打ち出し、製造業、運輸、建設部門の付加価値税引き下げ方針も表明した。
ただ、企業部門の過剰債務問題が深刻化している中国では、金融の引き締まりが顕在化。今年1月からの中国人民銀の相次ぐ預金準備率引き下げなどで一時の金融ひっ迫は緩和されたものの、中国企業の「金繰りのひっ迫」は全面解消には程遠いと、中国企業と取引している日本企業関係者は口をそろえる。
過剰債務問題が発生しているときに、金融を緩和しても、債務問題に直面している企業は設備投資を活発化させない。当面の利払いを新たな融資でしのぐということが繰り返され、前向きの企業活動に結びつかないからだ。
<中国底割れなしでも、日本に一定の打撃>
日本政府関係者は、中国経済の「底割れ」はないと強調するが、前向きのメカニズムが動き出すのかどうか、予断を許さないだろう。
当面、中国の輸出入が前年比で数パーセントのプラスに復帰するのは難しく、楽観的なシナリオでも、明るい展望が開けるのは、19年後半になると予想する。
この仮定どおりに進んだとしても、日本の輸出・生産が再び、拡大方向に戻るにも、一定の時間が必要になる。
輸出・生産の停滞が長期化するなら、4月からの設備投資計画が当初よりも弱めに作成される可能性も出てくる。春闘における賃上げも、経営側は厳しい姿勢で臨むだろう。
18年の3月ごろと比べると、19年の日本経済のトレンドは、拡大へのモメンタムが弱くなるのではないか。
さらに今年は、日米通商交渉も控えている。メインテーマは、日本から米国への自動車輸出だ。米国は同国での現地生産にシフトすることを求めてくると見られ、そのペース次第では、日本の輸出・生産が一段と下方にシフトしかねない。
輸出・生産から日本経済を展望する見方は、先行性という点で久しぶりに優位性を発揮するかもしれない。
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